novel

Trgangler 別冊 ラブグッズ

コンドームの詰め合わせ。口紅型のローター。吸い込み口にイボのついた吸引機。二股に分かれたバイブ。アタッチメント。使用用途が特定された電動マッサージ機。ローション。コスプレ類。その他諸々。本体色をパステルカラーで整え、お祝い感を演出しているよ…

Triangler 別冊 プラネットナイン

淡く色づいたガラス越しに望むアソーク駅の外側は、情けを知らない子どもが、砂場でバケツをひっくり返したような有様だった。ホームへ降り立ったSAIは、改めて窓の隙間から吹き込む雨粒に身震いする。雨季の終わりだと油断したのがすべての発端だ。見下ろ…

unmeasured 噛み合わせる不穏

不慮の事故、という言葉がある。これは突然、かつ偶発的な事件に対して用いる用語らしい。要するに、晴れの予報に安心していたら予測不能なにわか雨に落ち合った、みたいなパターンだ。よほど用心して傘を持っていない限り、どこかで凌がねばならない。常に折…

unmeasured 吊り橋に足を

ぐらり。水平線が大きく歪んだ。これは「ぐらり」どころではなく「ぐにゃり」だ、などと頭の片隅でやけに冷静な声がする。指先が急激に冷えていく。足がうまく動かない。腕も自分のものじゃないみたいに、小刻みに震えて、水をかけない。寒い? いやいや、季…

1 to 2 傾く理由

三月十五日。午前八時。室内に反響するデジタル音を止め、ベッド脇のカーテンを勢いよく開ける。広がる青い空。予報通りの快晴だ。この日のために見繕ったワンピースへ目をやり、ガッツポーズ。普段はスキニーのパンツスタイルが多いけれど、春だし、何より今…

1 to 2 お互い様と言うことで

「……正直、私はすっごくしたい」アルコールが入ったせいだろうか。酒に弱い印象はなかったし、むしろ俺より強いのではとすら思っていたが、肩にかけられた吐息がほんのりと熱い気がした。正面から薄い浴衣越しに体を預けられ、腹筋のあたりで質量のある胸が…

1 to 2 楽しそうで何より

洗面器の中にはてらつく粘性の液体。手元には、それらをたっぷり浸透させた布地。ゆっくり持ち上げると、染み込んだ水分が重力に逆らわず下へ下へと滴っていく。同じく細い指同士を開けば、とろりと音が鳴らないのが不思議なくらいに、たっぷりと時間をかけて…

1 to 2 浅倉南によろしく

「一也の奢り?」自信しかないという面持ちで、ほら俺新婚だし、と宣言した元都のプリンス、現日本のプリンスはひらりと片手を上げて見せた。よくもまあいけしゃあしゃあと。散々稼いでいるくせに、なんて思いつつ、それでいいよと頷く。言うて、鳴相手に奢り…

1 to 2 ストライクの数え方

午前十一時、駅前。数日前に交わした待ち合わせの約束である。久方ぶりのデートである。定期的に電話はしていたものの、直接会えると言うのはやはり嬉しく、俺はこの日を楽しみにしていた。携帯でやりとりを読み返して、口元がうっすら緩んでしまう程度には。…

1 to 2 ステップ・アンド・ステップ

「で、ヤらせてくれた?」身も蓋もない言葉選びに、含んでいたお冷を戻しそうになる。口に手を当て、ごくりと飲み下し、恨めしく質問を投げかけてきた張本人を見つめると、何が楽しいのかケラケラと笑ってみせた。「いや、だってお前二十歳越えて童貞って。な…

1 to 2 ワンワンにも負けそう

「御幸選手、こんばんは」開口一番、やけに機嫌がいいなと思った。あいつが俺に「選手」と呼びかけるのは、飯が美味かった時とか、予想よりもレストランのコスパが良かった時とか、まあそんな感じ。存外分かりやすい。今日の晩飯何食ったんだろ、この様子だと…

ダイヤプラス アンダー

アンダーシャツっていいよね。きっかけは何気ない一言だった。オフでも多少は体を動かさなければ鈍ると、軽めのランメニューとドリルをこなしたばかりの御幸が、そんなもんか、とでも言いたげに自分の顎をなぞる。そりゃあ、着慣れているかつ、見慣れている本…